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STAY BELONGING
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2020.11.02

02
Nov / NOTE

いい想い出は、なぜ生まれるのか。

 

私たちは、日々様々な体験をします。
その中には、いい想い出もあれば悪い想い出もあり、
また、そのほとんどが、「どちらでもない」想い出だと思います。

 

そこで、突然ですが皆さんに質問です。

 

Q. いい想い出になった体験は、悪いもしくはどちらでもない想い出と比べて、
決定的に何が違ったのでしょうか?


どうもこんにちはfrenの中島(以下中島)です。皆さん一度は上記のような疑問について考えたことありませんか?ほとんどの方は、考えたことないですかね。。中島もつい最近急に疑問に思って、自分の身の回りの人たちにfacebookやinstagramで伺ってみました。一応、自分なりにその答えとなるような仮説は持っていたのですが、多様なご意見に触れて自分の意見との比較や新しい発見ができればと思い投げかけてみた所、様々な面白い回答があったので、本記事にてシェアしていければと思います。

まずは、皆さんの回答を羅列していき、その後に、
・なぜそもそもこんな質問をしようと思ったのか(もちろんブランディングに関連してなのですが。。)
・どのような仮説が立つのか
・最後に中島の仮説との比較や考察
を述べていきたいと思いますので、お時間あれば最後までお付き合いください。


 

周囲の皆さんからいただいた「10の回答」
  1. 気持ちの持ち様だと思います。雨が降った、気持ちが下がる、ではなくて、雨の音を楽しんでみようか、とか、赤信号ばっかり!急いでるのに!、ではなく、焦ると危ないよ、と忠告されてるんだな、とか。(40代 女性 主婦)
  2. 五感(視・聴・嗅(きゅう)・味・触)があるかないか?かと思います!(30代 男性)
  3. その出来事に関わる人の人柄だと思いまーすw(30代 男性)
  4. 想い出になってしまえば、全部良い★ ただ、良い想い出はすぐ忘れるww お酒のせいかな。。。悪いことは、想い出になるまでが大変よね♪(40代 男性)
  5. やっぱり人ですね!有名なレストランに行って自分が美味しかったという思い出より、一緒に行った人が喜んでたという思い出の方が心に残ります!(40代 男性)
  6. 新しい体験があった  / レアな経験をした / 感情を大きく揺れ動かされる出来事があった / 家族との想い出これが当てはまる出来事は、良い想い出として記憶してるかも!「刺激」の強い出来事(新しい体験・知識を得る、大音量で音楽を聞く)に楽しさを感じる傾向があって、「楽しかったなあ〜≒良い想い出」と記憶しているのかも。このタイプの想い出は、脳科学的に説明できそう。家族との想い出に関しては、刺激の強度は関係なく、「家族の絆」的なものに哀愁を感じて、良い想い出として記憶してる。その点で、これは現代科学に基づいた心理学に依って説明した方がスムーズかなと思う。(20代 女性)
  7. 感情が動いたかどうか(30代 女性)
  8. 自分がそう思ったから(40代 男性)
  9. よくない想い出で、終わらせなかったから(20代 女性)
  10. そもそも忘れてしまっていたような遠い想い出も、友人などと思い出話をされた時に、あーそんなこともあったな、いい想い出だったな。と思うことがある。つまり「今」の自分がその想い出を「いい想い出」と決めたから(30代 男性)


それぞれの回答への中島の解釈

  1. 同じ出来事でも、ポジティブに捉えるといい想い出として記憶される
  2. 五感のどれか、もしくは幾つかに当てはまる出来事だと、いい想い出になる
  3. 人柄なので、どれだけその関わる相手と長い時間を過ごしたかは無関係で質が重要
  4. そもそも想い出に良いも悪いもない。想い出になった時点で全ていい想い出
  5. 自分も同じ楽しい体験をしているのに、お相手の楽しそうな体験を共有される方が、より良い想い出となりやすい
  6. 楽しいと思える体験で、その度合いが高かったもしくは、絆やつながりをもともと感じている人や物との体験がいい想い出になりやす
  7. 大なり小なり、感動したかどうか
  8. 自分自身の気の持ちよう
  9. いい想い出になるものは、いい想い出と認識出来るまで、頑張り続けた結果
  10. 体験をした時を含めた過去に悪い思い出やどちらでもない想い出と認識してても、今、それをいい想い出と思れば、それはいい想い出に変換もされる

 


質問をした経緯と置き換え

今回伺った経緯は、どんなブランド体験を共有すれば、企業やサービスなどのブランド側は、消費者や従業員などのステークホルダーと、持続可能性の高い関係を構築、維持できるのだろう。という疑問からでした。

これをみなさんのご意見からいくつか仮説立てて、ブランド体験に置き換えてみると、
  • その出来事自体をいい想い出と思い込めるか、つまり、いかにブランド側とステークホルダーで、自然と何事にもポジティブに捉えてもらえるような関係を構築するかが大事という説
  • 何かネガティブな事が起きても、いい想い出として変換、定着するまでコミュニケーションを継続する説
  • 五感(センス)のどれかもしくは幾つかに反応するような体験を共有する説
  • とにかく接点を持ち、少しでも多くの時間の共有を行い、良いも悪いもない、想い出を一つでも多く共有する説
  • そこに第三者的な家族や仲間、恋人など、他者を介在させ、情緒的なストーリーを共有する説
  • 大きくても小さくても、くだらないことでもいいので、感動体験を共有すること
  • つながりを感じられる人とその体験を共有させること

などにまとめれるかと思います。

 


時間軸と感情軸

質問が曖昧なので、しょうがないことかと思いますが、こうして俯瞰すると、時間軸的なご意見と感情的なご意見の2種類に分かれているように感じます。時間軸的なご意見をまとめると、過去の想い出を「今」どう解釈するかで「いいか悪いか」が変わる。感情的なご意見をまとめると、そこに親しい人がいたか、五感的にどうか、感動したかで「いいか悪いか」が変わる。

 

つまり、皆さんの意見をある程度要約すると、いい想い出というのはそこに友人やパートナーがいて、その人と一緒に感情が動くような体験を共有した時、つまり「他者と情動的共体験をしたか否か」が「いい想い出」となるかどうかの違いとまとめれるのかと思います。

 


中島の仮説
ちなみに、最初に仮説立てていた説が、
人にはそれぞれ、もともと、無意識でも意識的でも、理想としている体験のイメージがあって、それに近い出来事が起こると、バチっとハマるように、「いい想い出」として認識され、定着するんじゃないかと言う、事前に、いい想い出を内在させている説。でした。
ちょっと未来を予言出来てる運命論的というか、デジャブに近いイメージで、「初めて会った気がしない」などの体験があるのもこの、いいイメージがすでに内在していた説に近いのかなと。しかも、だいたい、初めて会った気がしない人は、自分にとっていいひとなはず。
中島の仮説はマトリクスで分類すると、こんなイメージですかね。
*マトリクス内の文字見づらいですが、あまり気にしないでください。笑
また、この理想の体験イメージは過去のいい想い出が大なり小なり作用するかと思っています。
つまり、いい想い出と理想の体験イメージは好循環の関係と仮定できます。
また、遡りますが、9番の回答も時間軸回答なので、当てはめてみます。
*9番の回答:いい想い出になるものは、いい想い出と認識出来るまで、頑張り続けた結果
これを踏まえると、悪い想い出も、理想と真逆の最悪な体験イメージとは、ネガティブな意味で作用し合う悪循環の関係であると言えるかと思います。
ちなみに、BADからGOODへは9番の説では昇華↑できると仮定されていましたが、個人的な見解では、WORSTからIDEALに昇華することは不可能と考えます。理由は次のマトリックの中に書かれているように、例えば「完敗」する最悪な体験イメージを、反省して次に生かせるという「いい」体験イメージに変換はできても、理想の体験には置き換えれず、理想の体験はこの場合「完勝」となるからです。
マトリックスの全体を俯瞰するとこんな感じと仮定出来ますかね。
この俯瞰した仮説の関係から、抽出できるブランド体験に活用できるポイントは2点と思っていまして、1点目は「最悪なWORSTイメージ」との悪循環を断ち切るためにも、「悪い想い出をいい想い出に昇華」させること。これは例えば、ブランドとしての失敗やネガティブなキャンペーンを、ブランドとしてしっかり反省している、謝罪している、またゼロから這い上がりますと言うような決意表明を広告として出すなどの、ブランド体験が当てはまるかなと。
そして、2点目はいい想い出、つまり、「他者との情動的共体験」を共有することで、理想の体験イメージとの好循環を維持していくことです。これは、1つめと同じ広告表現で例えるなら、このプロダクトでの感動体験をユーザー目線で共有するなどが有効と言うことになりますね。最近のAppleのMacbook Proの公式ページでも、トップクリエイターがMacbook  Proとの感動的ないい想い出を語っています。

最後に
こんな所まで読み進んでいただき、ありがとうございます。なんの科学的根拠もない記事なので、あくまでT中島の個人的な見解ということだけご了承ください!

最後になりますが、変化の激しいVUCA時代(Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)に置けるリスクヘッジとして、悪い想い出や最悪な体験イメージを持ってしまうことは自然なことですし、むしろブランドサイドはD2C時代において、必須条件レベルでリスクヘッジとしての「最悪な体験イメージ」を持たなければいけないですよね。

そういった視点で、単純にいい想い出をシェアするだけでなく、悪い想い出もいい思い出となるようなブランド体験やストーリーの共有が、SNSをはじめとしたオンラインはもちろんオフラインの両方のブランド体験で重要なんだと、今回の疑問から導けたかと思っています。
本人もびっくりのだいぶ壮大なテーマになってしまいましたが、
少しでも皆さんとのいい想い出の一片となれたら幸いです。
今回ご回答いただいた皆さん、本当にありがとうございました!